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過ぎ去りし季節

なかやんです。

まったく眠れないので、小説書きます。
またか、と気分を害される方がおられるかとは存じますが、
ぜひとも温かい目で見守っていただけたら、ありがたいです。

また、これはフィクションで実在の人物とは一切関係なく、
あと文才はないでしょうからあしからず。。


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そこにあるけど、気づかれないものっていっぱいあると思う。
そういうものに僕は気づきたいと思うし、他の人にも気づいてほしいとも思う。



目が覚ますと、僕は天井を見ていた。
窓から差し込む日差しがまぶしい。体が熱い。妙に体が重くて、動ける気がしなかった。

あと、目が覚めたばっかりだというのに、眠気がひどい。
ただ、天井を照らす日の光の筋だけ目でとらえていて、今が夏のお昼時であることは理解した。

窓の外から、ゴミ収集車の音だろうか、ピー、ピーって聞こえている。
僕は、そうして目を閉じた。



気づいたら、電車の中にいた。あれ?、あっそうか、これは夢か。またいつの間にか眠ってしまっていたのか。
ふと、電車の中を見渡す。あまり人は乗っていない。風景を見たところ、この辺は田舎みたいだ。
やがて、電車は減速し、ボロそうな駅に着いた。座っていても仕方ないと思って、電車を降りる。
降りてみると、やはり、そこはいたって田舎の町並みであり、まあ落ち着けそうなところだった。

すると、後ろから一人の少女が、僕の横をすっと抜いていった。
少し気にかかったんだと思う。
行くあてもないし、僕は、とりあえず、さりげなく彼女についていくかと思った。

遠目で後ろから見てる感じ、身長は低い。まあ、僕が20才で170センチあるから、彼女は150センチくらいか。
だが、容貌の雰囲気からすると、実は高3くらいかもしれない、と思えてくる。
ただ、気になるのが、さっきから少女の歩きがふらついているように見えるのだ。めまいでも起こしてるのか?
まあ、夏の暑さでくらくらになってるだけか。僕も、たまにゆらめくからね。
あと、それと対比するかのように、彼女がかぶっている麦わら帽子が存在感を出している。そうだ、彼女に話しかけるときは、ああ、すみません。麦わら少女さん?って感じでいくか。我ながらすこし、ふっ、と笑った。
あっ、そうか、僕はあの麦わら帽子につられてきたのか。そうに違いない。

あたりは、緑あふれる山々、水田に囲まれていた。
彼女は小高い丘を見つけ、そこを登り始めた。
ここで僕はついていくか少し迷ったが、ここまできたからには行くか、ということでついて行った。
それにおかしくないか?なんで一人の少女がこんなとこ登ってんだよ。家もなさそうだし。
さらに、当の彼女は、僕の存在に気づいてすらいない様子。おかしい。

決心した。僕は彼女に速足で追いつき、話しかけた。「ああ、あのー、どこいこうとしてるんでしょう・・・麦わらしょ・・」
その瞬間気づいた。彼女の2,3m先に崖がある。ヤバイ。
思い切り腕を掴んで、押し戻した。
そのとき彼女の顔を見た。
見たら、目がうつろだったんだ。だけど、涙の跡でちょっぴし赤くもなっているんだ。
僕は、見たことがある。どこかでこういう表情、こういう人たちを。ダメだ、自殺もしかねない。
「おいっ、しっかりして!」肩をぶんぶん揺らす。すると、少女は、正気を戻したようで、内側から僕の手をはたいた。
「どうして・・・どうして・・ もう生きたくない。つらいこと、いたいことばっかり」

その少女の言葉に、彼女の人生が見えた気がした。

「君は病気をもっているんだね。ちょっと帽子をとってくれない?」
僕がそういうと、はじめは嫌悪を示したが、しばらく黙っている間があると、やがて、顔はこわばったままだが、少女はおずおずながらも帽子をぬいでくれた。
そうではないかと想定はしていた。だけど、僕は何も言えなかった。彼女の頭頂には髪はなかった。

彼女は少しずつ話してくれた。白血病にかかっていること。それで、抗がん剤をうっているが、その副作用で脱毛が激しいこと。貧血でめまいをおこすこと。治療が難航していること。

一通り話し終えると、多少すっきりしたのか、彼女の表情が明るくなってきた。「てかさ、あんたも、相当髪うすいね」
反論。「これは、生まれつきだから。というか、『あんた』じゃなくて名前で呼んで」
「名前何?」
「陸男」「君は?」
少し間。
「おしえない」
「そうかおしえないちゃんか、よろしく。」
「はっっ? ハァーやっぱあんたはあんたでいいや。」

特に意味もない会話だったけど、楽しかった。風が吹き、緑がたなびく。
息をつく。刹那、意識がとんだ。夏が終わった。



目の前には天井。
赤くきらめいている。夕方ごろなのだろうか。

少しして目が覚めたことに気づく。相変わらず、体は重いし、眠気がひどい。
だが、今は、前より若干寒気がする。夏じゃないのか。もう秋って感じがする。

まだ、前に見た夢のことは鮮明に覚えていて、そして忘れたくないと思う。
とはいっても、なぜか眠気が恐ろしくひどい。
あっ、でもそうか、眠ったら前の夢の続きが見れるかも、だったらこの眠気に身を任せたい。

近くでピー、ピーって音がする気がする。ゴミ収集車の音じゃないな。なんか機械音のような。
そんなことを思いつつ、目を閉じた。



気づくと、電車の中にいた。きた!前の続きだ。
ただ、今回はとなりの座席に麦わら帽子が置いてあった。僕の記憶では、この帽子は彼女のもので間違いない。
それを、僕は、しゃれたいつもりはないのだけれど、頭の上にかぶっていった。

とりあえず、例の駅で降りる。そして、今回は行く先がある。あの少女がいるかもしれない。それだけで十分だ。

歩いていると、周りの風景がすっかり秋っぽくなっていることに気付かされる。稲穂の刈り取りも大半済んでいるみたいだし、もみじも、深く紅葉づいている。
丘の中ほどまで来て、いまさら彼女がいるか心配になってきたが、かまわず進む。
頂上まできて、不安がピークになった。だけどそれも一気に吹き飛んだ。あの少女の姿をみとめた。

「あのー、今日は麦わら少女さんじゃないんですね」
「あっ、あたしの帽子!」
すぐに反応した。初めて会った時より彼女の表情はいい。
しかし、体は前よりやせ細っているように見えて、せつない気持ちでいっぱいになった。
「体の調子は・・・どう・・?」
「まあ、こんな感じ。抗がん剤治療でも、あんまりよくなってないみたい。先生はそんなあたしを見て、移植手術を提案したわ。成功するかわかんないし迷ってる。けど、このまま弱っていくぐらいなら、まだ、体調がいい今のうちに手術をうけておきたい。」
僕は、うれしかった。
彼女の話を聞いていると、明らかに彼女は強くなってる。彼女には助かってほしい。一途にそう思う。

刹那、意識がとびかけた。その後に、僕は恐怖を覚えた。まだだ。まだ、ここにいないといけない。

「大丈夫?なんか、あんた、今、気失ったみたいに顔色わるいよ」
「ああ、そうだね。突然だけど伝えておきたいことがある。君には生きてほしい。僕は応援している。」
「どうも」
わりとケロッとした表情な彼女。「思ったけど、あんた白血病のことくわしいね、なんで?」
「笑顔でいてほしい」 
「はあ?、あんたさっきからなんかおかしい」
僕は、麦わら帽子をとって、彼女の頭の上に戻した。
彼女は僕を見た。彼女の視線は上を見たまま動かなかった。
「ぇっ・・あんた、髪がなくなって・・」
「僕の方は治らない。あと2カ月もてばいい方らしい。だから、僕のぶんまで生きて。」
「ちょっ・・まって・・ まだ・・

最後まで聞くことはできなかった。
暗転。意識がとんだ。秋が終わった。



いつぞやにみた天井。
今はもう、かすかにしか見えない。白っぽく見える。弱い光がゆらめいている。寒さを感じる。
冬の明け方。

今はもうねむいのかどうかもわからない。体は鉛だ。重く冷たい。
ついに、寒いのかどうかも分からなくなった。体の感覚がない。まだ、脳だけはかろうじて動いている。

もう、夢をみることはできない。それだけは実感した。あと、僕にあと残されたことは何か。
そう思っているうちに、目の前に黒が混ざってきた。視覚、いや脳までやられてきている。
黒と白が入り乱れる中、できることを必死に考えた。

一瞬。一瞬だけだった。
けど、かすめたんだ!あの麦わら帽子。それをかぶる少女!
「生きて・・・!」

言葉にはなってない。でも気づいてほしい。僕の思い。ただそれだけ


その後、視界が黒に染まった。
ピー、という音がそこに響いて消えていった。





「カタッ、コトッ、カタッ、コトッ」

「誰あの女のひとっ。真ん中歩いてるけど、親族の方なのかしら」
「式なのにあんなものかぶってきてっ。おかしいでしょ」


とある年のクリスマスの日、日向陸男という男の葬儀が行われた。
亡くなった男の親族を始め、病院の関係者などさまざまな方が出席なさった。
男が白血病で20才で亡くなったためか、やや葬儀に落ち着きが欠けている。会場の端では、ひそひそ話もとんでいた。

そんな中を、一人の少女は、まっすぐ堂々と歩いて行く。
その少女が霊前につく。

近くの者が、その少女をとめに入ろうとしたが、彼女が、頭にかぶっていたそれをとると、
その者は歩みをとめた。周りの者も、凍りついたような表情をみせた。

少女は、それらには見向きもせず、おもむろに言葉を紡ぎ始めた。


 今日は、私の方からこちらに参りました。あなたはかえらぬ人になってしまいましたが、私の中であなたは生きています。あなたが、私に2度会いに来てくれました。はじめから、あなたは病魔にむしばまれつつも、私にはそのしぐさをみせず、それどころか私を勇気づけてくれました。だから、私は今ここにいられるんです。私の手術の日と、あなたの命日が同じ日であったということを、後に知りました。私は長時間の手術、あなたは長時間の昏睡状態であったと聞きます。手術中、私はどこか暗い世界によこたわっていました。そんな時、一瞬だけ、あなたの声が届いた。
うれしかった。それから生きる力があふれてきた。陸男、あなたに感謝します。これからも、私は精一杯生き続けます。


それだけいうと、少女は手に取っていたそれをかぶり、
外へ小走りで出た。うしろを振り返らずに。


外の街はすっかり雪をかぶっていた。クリスマスのベルが高く鳴っている。人々のニット帽がせわしなく行き交うなか、少女の麦わら帽子は、季節に色褪せることなく、まぶしく輝いて見せた。

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以上ですー。お疲れ様でした~

最後に、本当に余談なのですが、
陸男→六男→ろくお→ろっくおとこ→ロックマン→過ぎ去りし季節はグラフィティ~♪→君のくれた勇気は・・・?
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